欧州共同体商標(Community Design)のルール改正について

「欧州規則」のルール改正が2015年12月24日に行われ、2016年3月23日から施行される。

この改正により、

「共同体商標(Community Trademark)」→「欧州連合(EU)商標(EUTM; European Union Trade Mark)」
「欧州共同体商標匠庁(OHIM)」→「欧州連合知的財産局(EUIPO; European Union Intellectual Property Office)」

と改称される。その他のポイントは以下のとおり:

  1. クラス・ヘディング(各類に属する商品又は役務の見出し)のみ指定して2012年6月22日以前に登録された商標について、2016年9月23日までに、商品・役務の「書き換え宣誓」が認められる(※1-2)。
    例えば、クラス41の見出し(教育;トレーニング;娯楽;スポーツ及び文化的活動)のみ指定していた場合、「印刷サービス」や「チケット販売サービス」は保護されなくなると考えられる(※2)
  2.  サーチレポート及び Surveillance Letter(引用された旨の通知) の要否が、選択制となる
  3.  トランジットにある模倣品についても、税関での差し止めが可能となる
  4.  商標の視覚的表示要件が削除され、音、匂い等の非伝統的商標の登録性が高まる
  5. 登録料及び更新手数料の変更(※1)

 

コメント:

料金面(オフィシャル・フィー)では改正ルール施行後に出願する方が安価となる利点もあるが、クラスヘディングのみ指定していた場合の保護範囲が大幅に制限されるリスクを考えると、複数分類の商標出願を行う場合、音や匂いなどの非伝統的商標を出願する場合を除いては、施行日(2016年3月23日)より前までに出願を完了することが有益であると考えられる。また、上記書き換え宣誓期間中に該当する商標をお持ちの場合、適切に書き換えを行うことが極めて重要である。

 

(参考サイト)
※1
手数料についてはAnnex-1を参照

※2 http://www.glp.eu/en/update/news/?id=142