SI単位と特許出願
計量の基準を定めた法律として計量法(1952年(昭和26年)制定、1992年(平成4年)全部改訂、*1)がある。この計量法に従って、特許出願の明細書も国際単位系(The International System of Units、略称SI)による計量単位で記載しなければならない(特許法施行規則第3条、*2、*3)。特に、小冊子「新計量法とSI化の進め方 ~重力単位系から国際単位系へ~」(文献*4)は、参考になる。
特許出願書類に記載されている計量単位がSI単位でない場合、特許請求の範囲や明細書の記載要件違反による拒絶理由(特許法第36条第4項第1号又は第6項2号)に該当する(第Ⅰ部 第1 章 4.明細書等の記載不備一般、P.30、*5)。当然これらは無効理由にも該当する(特許法第123条1項4号)。
そのため、特許出願書類を作成に携わるものは発明提案書が非SI単位で記載されているときはSI単位へ換算(場合によっては併記)することが必要になる。例えば、
・力 : 1 [kgf] = 9.80665 [N],
1 [dyn] = 10^-5 [N]
・圧力 : 1 [Torr] = 133.322 [Pa],
1 [mmHg] = 133.322 [Pa]
・加速度 : 1 [Gal] = 0.01 [m/s^2]
のようにである。出願原稿チェック時に確認していただいているが換算時のミスも起こりうるため、発明説明書の段階からSIで記載されていると非常にありがたい。
*お願い*
知財部門の皆様におかれましては関連部署(特に、技術部門)の方々に対する知財意識啓蒙活動の一環として、特許出願依頼時の発明説明資料等中の単位表記にぜひSI単位を使用(若しくは併記)していただくように、働きかけ・情報発信をしていただければ幸いです。
(参考)
*1:e-Gov 法令データサイト(計量法)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=404AC0000000051
*2:e-Gov 法令データサイト(特許法施行規則)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335M50000400010
*3:特許庁 出願書類等への計量単位の記載についてのお願い
https://www.jpo.go.jp/system/patent/shutugan/sakusei/keiryo.html
*4:新計量法とSI化の進め方:
https://www.meti.go.jp/policy/economy/hyojun/techno_infra/11_gaiyou_tani3.html
*5:特許・実用新案審査基準 第Ⅰ部 第1章 明細書及び特許請求の範囲の記載要件
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/tukujitu_kijun/index.html