仲裁条項について
知的財産権の帰属や実施権の範囲などを定めた契約を書面で交わす際に、専属的合意管轄裁判所を定める場合は多いであろう。当事務所では、それに代えて、仲裁条項を設けることを提案している。仲裁条項には仲裁機関、仲裁規則、仲裁地を記載する。仲裁合意があれば必ず裁判よりも先に仲裁を経ることが双方に義務づけられるからである。万一、契約に違反して提訴しても防訴抗弁により門前払いとなり、訴訟リスクを回避できる。
以前、当職はある事件で知的財産仲裁センターに申立てをしたことがあるが、相手方が不応諾としため、センターでの事件解決ができなかった。知的財産仲裁センターの利点は中立的な第三者による専門性の高い事件解決ができる点であるが、その他にも、非公開性と事件解決の迅速性の利点が大きい。おまけにセンターに支払う費用は安価である。しかし、相手方が応諾しなければせっかくの制度も役に立たない。
この苦い経験から、事案に適すると判断した場合には極力、仲裁条項を設けることを提案している。