ロンドン協定(London Agreement)
欧州への出願で実務上重要な条約の1つはロンドン協定(London Agreement)である。2008年5月1日に発効したもので比較的新しい。欧州特許庁(EPO)を経由して出願した特許出願について実体審査が終了して特許査定がなされた後、従来、予め指定した欧州各国の国内段階に移行するためには、各国毎の翻訳文の提出が必要であった。我が国からEPOへ出願する場合、通常は英語で出願することが一般的である。従って、従来は、公用語が英語以外の国には、移行国の公用語に翻訳する必要があり、これが権利取得費用の増大を招いていた。
ロンドン協定によると、欧州特許条約の締約国34カ国のうち、英語、ドイツ語及びフランス語の少なくともいずれか1つが公用語である国(次の7カ国: 英・独・仏・スイス・リヒテンシュタイン・ルクセンブルク・モナコ)に移行する場合には、翻訳文の提出が不要となる。それ以外の言語(例えば、イタリア語、スペイン語等)への翻訳は依然として必要であるが、ドイツ語とフランス語への翻訳が不要になるだけでも費用負担は大幅に緩和されることになる。