欧州特許条約について
本日欧州特許に関する問い合わせがあったので備忘録としてまとめておく。
日本から欧州の各国に特許を出願する場合、出願国に応じていくつかの選択肢がある。直接出願をする場合は、日本出願をパリ条約に基づく優先権を主張して、必要な国の特許庁に手続する。実務上は当該国の現地代理人に依頼をして手続きを進める。この方法は、出願国が少ない場合に有効である。
直接出願ではなく、「欧州特許条約」を利用して出願することもできる。この条約を利用すれば、条約の締約国に含まれる複数の国に同時に出願することができ、手続が簡素化される。
2008年1月現在締約国は以下の34か国である。
オーストリア、ベルギー、ブルガリア、クロアチア、キプロス、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、イタリア、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、モナコ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、イギリス
従って、出願国がこれらの国々に全て含まれるのであれば、欧州特許条約を利用した出願が一般的には有効である。但し、条約を経由する場合は審査が条約のガイドラインに従ってなされるため、(出願を希望する国によっては)条約を経由することによってデメリットとなる場合もあるので注意が必要である。